ちと遅ればせながら、みなさんハッピーニューミレニアム! そして、おめでたいことはまだまだ続きます。2000年1月21日は『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』の発売1周年記念日ですよ〜!! さらに、そのおめでたい日に、CD『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』がリリースされることになったんです!
このCD、なんと2枚組みの豪華版で、1枚にはオリジナルサウンドトラックを、もう1枚にはCLUB MIXを収録。さらに特典として、スマブラのロゴをデザインしたオリジナルメタルプレートがもれなく封入されます。
で〜、スマブラ1周年を記念して発売されるこのCDの発売を記念して(ちとややこしい!?)、関係者による新春対談を企画しました。出席者は、CDの製作を担当したミュージシャンの大竹幸尚さん、スマブラの音楽担当であるHAL研究所の安藤浩和さん、そして、スマブラのディレクターでありスマブラ拳の生みの親でもあるHAL研究所の桜井政博さんです!! 司会は私、NOM(ニンテンドウオンラインマガジン)編集長の櫛田理子がつとめさせていただきます。さあ、富士山を正面にのぞむHAL研究所の会議室で、いったいどんな話がくりひろげられたんでしょうか!?
※このCDを3人のサイン入りで10名様にプレゼント!応募方法は、『アンケート集計拳!!』のページで!
・スマブラ好きがスマブラの仕事を引き寄せた!?
−− ミュージシャンの大竹さん、今日はようこそいらっしゃいました!! 対談に時間を割いていただけるということは、CDのほうはもう完成しているんですね?
大竹幸尚(以下、大竹) いま、一生懸命刷っています(笑)。−− 聞くところによると、大竹さんはもともとスマブラの大ファンで、それがきっかけで今回のCDも手掛けることになったとか?
大竹 そうですね、ゲームがもともと好きなんです。スマブラも、発売されてからすぐに買いましたよ、そのときはなんのソフトなのかイマイチよくわかってなかったんですけど(笑)。そうそう、オレは東京の福生ってところに住んでるんですけど、地元の市役所だか商工会だかが、季節ごとにお祭りをやってるんですよ。そこで、スマブラの大会が行なわれるようになってね。子供たちのレベルが、春祭りのときよりも夏祭り、夏祭りのときよりも秋祭りってぐあいに高くなってるのを目の当たりにしてきたんです。参加者というかお客さんの数も、どんどん増えていきまして、秋祭りのときはスゴかったですね! 口コミや、新聞の地域版で情報を仕入れた子が、ほかの市からも電車で通ってくるんだから。あきるの市とか。−− で、大竹さんも大会に出場なさってたってワケですね!
大竹 うーん、大会でみんなと遊んでたっていうか……。はじめのころはヘヘ〜ンと遊んでいたんですけど、夏祭りのときにはすでに、子供たちのレベルにはついていけなかったなぁ。
桜井政博(以下、桜井) 自分がやってるホームページ(ココ)でいろいろな情報を目にしましたけど、それだけ大規模なローカル大会があるなんて、まったく知りませんでしたね。しかも、ボクの実家のそばでそんなことが行なわれていたなんて……。ひょっとすると、いろんな地域で同じような大会が行なわれていたのかもしれませんね。
大竹 えっ、じつはご近所さんだったんですね。この地域にはスゴいヤツがいるんですよ。その名も“フォックス石川”(笑)。過去のチャンピオンが一堂に会した大会でも、豪華賞品を2日連続で取っていきましたからね。
桜井 だめですねー、そういうひとには、1日は遠慮してもらわないと(笑)。
大竹 まあ、そうやってスマブラに親しんできた経緯があったので、スマブラCDのお話をいただいたときには「知っていますよ、それ!!」ってカンジでうれしかったです。
・曲順や曲の長さにCDならではのこだわりが
−− CDの製作にあたっては、構成などについて、大竹さん、桜井さん、安藤さんの3人で話し合ったりしたのでしょうか?
大竹 会議などはなかったんですが、安藤さんからご指導いただきました。桜井さんからも、間接的にですが、安藤さん経由でいろいろと。
安藤浩和(以下、安藤) 今回は、ゲームのなかにサウンドテストモードがあるのに、わざわざCDを出すことになったということで、曲順とか工夫しなければいけない点など、いろいろ考えるところがあったワケです。そういうことをお話ししました。
大竹 安藤さんや桜井さんの意見はいろいろ勉強になりましたね。曲順の提案にしても、曲の長さの提案にしても、ゲームの1シーン1シーンがよみがえってくるような仕立て方だったというか。
桜井 そこをちゃんと理解して製作していただけたのは、本当にありがたかったです。とくに、自分は間接的にしか大竹さんとお話できなかったので、自分の意図したところがねじ曲げられずにそのまま伝わったってのは本当によかった。うーん、自分の意図したところを伝えるというのは、なかなか難しいものなんですよね。いろいろ経験してるんです。−− たとえば?
桜井 キャラの監修とか、コンセプトが理解されていないとか。ソフトが実際より低く評価されちゃったりするのもそうかな。製作者の意図が正しく伝わってないという意味では。スマブラも、当初は各方面から見向きもされていなかったようですが……。
大竹 じゃあ、コレだけヒットしてざまあみろってカンジですね!!
一同 (笑)−− 具体的には、CDの製作はどんな風に進んでいったんですか?
安藤 私は、大竹さんに素材を提供するってカンジでしたかね。
大竹 安藤さんにはリードしてもらいました。オレはスマブラのファンだけど、しょせん外野でしょう? ゲームを作り込んだスタッフじゃないとわからない部分ってのがあるからね。スタッフが大切になさっている部分とか。それを限られた時間で理解しないといけなかったんですが、安藤さんに助けられましたね。
安藤 いえいえ、CD製作のときのことも、ゲームのサウンド作りも、もともとはディレクターの桜井の指示なんですけどね。
桜井 スマブラのサウンドの場合は、自分自身のこだわりによる指示も出したけど、そうじゃないことも多かったですね。というのもスマブラでは、ポケモンとかマリオなどのいろんな人気ゲームを取り込んだでしょう。その原作者を裏切っちゃいけないというのが大前提で。そこが大切な部分でしたね。
安藤 そう。私たちにこだわりがなくても、原作者にはこだわりがあるハズ。まずはそのへんを理解しなきゃいけない。−− さきほど曲順についての話もでましたが、ここにもこだわりがあったワケですよね?
桜井 じつは、キャラクターセレクト画面で、キャラがならんでいる順番ってヒソカに意味があるんですよ。原作となったソフトの発売順であったり、マリオに対するルイージやピカチュウに対するプリンといった風に関連キャラを隣りあわせてあったり……。だから、CDでの曲順も、コレを基本として考えさせていただいたワケです。
大竹 すごくこだわっていらっしゃるから、CDの制作中に、桜井さんや安藤さんとぶつかったこともありました。でも、おふたりとも折れない、折れない! スマブラってブランドを、すごく大切にしてるんだってことが伝わって来ましたね。−− 曲の長さに対するこだわりというお話についても、くわしく聞かせてください。
安藤 CDともなると、すごく長い曲があったとしても、それを全部収録するのはちょっとツラいんで、適当な長さにする都合上、ちょっと手を入れるんですね。これがむずかしくて……。たとえば、トレーニングモードの曲ってめちゃくちゃ長いの、ご存じでしたか?。
大竹 永遠に続くんですよね、あの曲?
安藤 はい。というのも、パートごとに異なった長さのループを設定しているので、何通りもの組み合わせが生まれてしまうってワケです。曲自体はすごくあっさりしているので、気づいたプレイヤーはいらっしゃらなかったかもしれない。メニュー画面の曲もそうです。、やっぱり各楽器でループする長さが違って、小節の概念がないんです。そうそう、メニュー画面の曲にはちょっとしたエピソードがあります。この曲を聞きながらステレオかモノラルかを選択することになるので、音を極端に左右に振りわけてるんですよ。このゲーム中、最大の振り幅ですね。でも、それをやったおかげで、ちょっとノイズが入っちゃって音質はよくない(笑)。−− ほかにも、曲についてのエピソードなどがありますか?
安藤 スマブラの場合はボイスが多かったでしょう。たくさんのボイスや効果音を入れる分、曲の音質をずいぶん落とさなければならなかったんですよ。だから、CDで聞かれるとなると、ちょっとツラいかなとも思うんですけど。しかもエフェクトがモノラルなので、エコーとかかけるとガァーッとまんなかにきちゃって、ツラいんです。
桜井 まあ、ファミコンゲームのオリジナルサウンドもCDになってるんだから(笑)。−− スタッフのこだわりのなかで、大竹さんはどのように仕事をなさったんですか?
大竹 うーん、最初はすごく客観的に考えていた仕事なんですけど、最終的にはプレイヤーである子供の目線で考えていましたね。このCDを子供たちが聞いたら、ゲームの興奮がよみがえるかなとか、そういう目線で作っていました。
桜井 その話、共感できます。ゲームを作るうえでも、ユーザーの目線でものを考えるっていうのは重要なんです。これを遊んだユーザーがどういうふうに感じるのかなということは、しょっちゅう考えているんです。その考え方は、営業サイドとかみあわなかったりするんですけど、結局はユーザーの目線で作るのが一番なんだって、スマブラの成功が証明してくれたんじゃないでしょうか? 作っていたときにはいろいろ言われたけど、完成後にはユーザーがすごく喜んでくれてますからね。
・トサキントのボイスって色っぽい!?
−−スマブラって、ボイスや効果音がホント多いですよね。CDにも完全収録されていたりして?
桜井 ボイスについては、残念ながら収録することができませんでした。というのも、声優プロダクションとの契約上の問題がクリアできなかったんです。ゲームのなかでしか使わないという条件で声を入れてもらっているので、CDに入れるとなると問題が……。
安藤 なんか、ボイスがないとスマブラらしさが出ないんですよね。効果音はキャラクター別に収録したんですけど、やはり寂しい。
大竹 そういえば、スマブラってピカチュウを操作できる初のゲームなんですってね?
安藤 ポケモンも、いまではアニメの声のイメージが焼き付いちゃってるから、ゲームにそれが使えてよかったです。
桜井 うん、必殺技を撃つときに、あのゲームボーイ版ポケモンの「キャキャキャ」という鳴き声じゃ、ちょっとねえ。
一同 (笑)
桜井 そういえば、声優さんに声を入れてもらうのは、ある程度ゲームができあがってからなんですよね。開発中には、とりあえず自分たちで声をあてておくんです。ドリャーとか言って(笑)。
安藤 たしかに、ずいぶん長い間、桜井の声のバージョンだったなあ。
大竹 トサキントの声もあてました?
桜井 いや、ポケモン関係は遠慮しておきました。
大竹 いやあ、トサキントってセクシーですよね。とくに、最後のほうの色っぽさっていったらないですよね。ちょっとなよっとしているんですよね。
桜井 ハハ、本来なら、“はねる”って技を使うポケモンといえばコイキングですよね。だけど、トサキントの声をアニメで聞いたときに思ったんです。この声を使うために、コイキングではなくトサキントを使おうって(笑)。−− ちょっと、サウンドテストモードで聞いてみましょうよ。
大竹 トサキントでしょ? 225番ですよ。
桜井 えっ!? 覚えてるんですかっ!?
大竹 知ってますよ(笑)。いや、226だったっけ? 226はカメックスだったかな? それにしても、このサウンドテストってのは、ミュージシャンにとってはカッコウのサンプリング素材ですよね。
桜井 たしかに、学園祭で使ったとかいう投稿もありましたよ。
大竹 あるレコード会社のディレクターに聞かせたら、すごい新鮮だっていうんですよ。ロックに使っても楽しそうだね、なんて言ってましたね。
安藤 サウンド担当の私からすると、サウンドテストって音楽の安売りってカンジで、もったいない気がします。もちろん、ゲームからサウンドだけ取り出して聞いてもらえるってのは、いいことだと思っていますが。−− ちょっと話を戻しますが、ボイスじゃなくて、効果音のほうはCDに収録されてるんですよね。
安藤 はい、キャラクター別に収録しました。CDの話はちょっとおいといて、ゲーム中のサウンドテストの話をしますと、効果音は194番まであるんですよね。ただ、効果音は数が多くて、ゲーム開発中から収集つかなくて、コレどこに使ったっけみたいなカンジなんです。それに、サウンドテストとはいえ、一応ひとに聞いてもらうためのモノですから、あまり同じような音がたくさんあってもつまらないので間引いてあるんです。だから、実際にはもっと多いハズです。CDには、さらにここから厳選したモノを収録しています。−− 逆に、サウンドテストでは聞けるのに、実際のゲームには出てこない音とかもあるんですか?
安藤 じつはあるんです。あると思います。ハッキリ言って把握できてません、多すぎて。
桜井 ボイスでは、フォックスの「任務完了」がサウンドテストに入っていないって指摘がありましたね、スマブラ拳への投稿で。
安藤 以前に『星のカービィ2』で、ゲーム中には使えなかったんだけど、すごく気に入った曲をサウンドテストだけに入れといたんです。そしたら、ハガキでひとりだけツッこんでくれたひとがいた。うれしかったですね。
大竹 CDのCLUB REMIXにも効果音を使いました。こちらのほうは、ゲーム上でどこに使われていたかということより、曲調やテンポなどを考えてマッチする音をマジメに選びました。194もあったということですけど、曲の長さも限られていますから、そのうちのごく一部しか使えませんでしたね。
・原曲をアレンジする際のエピソードあれこれ
−− 安藤さんが、今回もっともお気に入りの曲はどれでしょう。
安藤 自分で気に入っているのは、ボーナスゲームの曲と、オープニングテーマ、エンディングテーマですかね。というのも、スマブラではひとが作った曲を編曲することが多かったんですけど、この3曲は自分で全部手掛けたもので。でも、ひとの曲のアレンジというのも勉強になるもので、どんなふうに作ったのかが分かって面白かったです。
桜井 アレンジということで気を使ったのは、いったいどの曲をモチーフにするかってことです。たとえば、マリオの曲をアレンジするにしても、それは『スーパーマリオブラザーズ』の曲なのか、最新作の『スーパーマリオ64』の曲なのか。また、ファミコン用のスーパーマリオなのか、スーファミ版のスーパーマリオなのか、そういうことですね。結構選択肢があるワケです。これに偏りが出ないように気を使いました。ドンキーコングとカービィのテーマはスーパーファミコン版ソフトの曲、マリオとサムス、リンクのテーマはファミコン版ソフトの曲をアレンジ……というようにばらけさせたんです。選曲している最中は楽しかったですよ。−− ばらけさせたのには、なにか意味があるんですか? ファミコン世代、スーパーファミコン世代など、プレイヤーの年代を意識したとか?
桜井 そうですね。みんなファミコン版の曲のアレンジにしてよかったんですけど、世代を問わず、だれでも遊べるようにしたかったから、バラエティをもたせたんです。
安藤 単に好き嫌いで決めたんじゃなかったんですね(笑)。
桜井 半分はそれかな(笑)。自分が一番聞いてほしいのはヨッシーのテーマです。『ヨッシーストーリー』というゲームのメインテーマをモチーフにしているんですが、じつはメインテーマが2バージョンあったんですよ。でも、どちらも甲乙つけがたいので、ふたつを1曲にまとめるアレンジをしてもらったんです。とてもよくまとまってると思います。
安藤 そういえば、リンクのテーマなんですが、ディスクシステム版とスーパーファミコン版の中間ってカンジのアレンジにしてみたんですけど、いかがでしょう。曲を作るときにはN64版も見てみましたけど、あれは私は遊べません。3D画面に酔うので(笑)。
・スマブラキャラクター談議
−− みなさん、スマブラは相当遊んでらっしゃると思いますが、どんなキャラをお使いになるんですか?
大竹 フォックス好きですね。でも、フォックス石川を見てから、とても足もとにも及ばないと思いました(笑)。
桜井 フォックスは、1対1だと強いキャラですね。
大竹 例のお祭りの大会だと、カービィを使って強い子が多かったので、フォックスを使う子がいなかったんですよね。そこでフォックスで勝つのがカッコよかったですね。
桜井 なんでもいいからナンバー1を持っているキャラってのは、それを武器にすれば強い。フォックスの場合は、機動性がナンバー1ですよね。本気で走ったら、だれもフォックスに追いつけないハズ。そこをウマく活かせばフォックスで勝てるんでしょうね。
安藤 私だと、フォックスやファルコンは速すぎて操れないです。私はサムスかヨッシーですね。なにか飛び道具が欲しくって。
桜井 自分はなんでも遊びますよ。あまり、キャラの強弱にもバトルの勝敗にもこだわってないんですよ。楽しく遊べればいいかなって。こういう思想のディレクターのもとに作られたゲームなので、スマブラのキャラの強さのバランス調整ってのは、けっこう特殊なんですよ。たとえば、よくある格闘ゲームだと、ある技はスピードが速いけど威力は弱い、ある技はスピードは遅いけど威力が強いとか、そういうことでバランスが取れている。スマブラの場合は強い部分は強くて、弱い部分は弱いんです。ただし、ちゃんとそのキャラクターの長所をいかしきれる技で、同時に短所も反映している。ということで、キャラの長所と短所がワリとハッキリしているんです、スマブラは。いまの格闘ゲームって、どのキャラを使ってもいっしょだなという感もあったので。このバランスの取り方は、自分としてはいいと思っているんですが、悪く言えばバランスが甘いということでもあるワケで……。なんて反省のようすを見せながら、海外版ではさらにキャラの長所と短所をハッキリさせてるんですけど(笑)。−−まあ、とりあえずゲームも用意していることですし、ここで3名に対戦していただきましょうか。
大竹 やめてください、それだけは(笑)。−−そういえば、スマブラのキャラって色気がないですね(笑)。オンナのコが……まあいるにはいるんだけど、パッケージの絵づらだけ見るといない。
桜井 それは、当初からよく分かっていたんですが……だからといってピーチ姫を出しても、色気というのとはちょっと違う気が(笑)。ゼルダ姫はどうかな、まあ、タイトルになっているということを考えれば有名なのかな。タイトル以外はあまり有名ではないんですけれど。
大竹 あの人はどう? 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に出てくる命をくれるおばさん(笑)。大妖精? 命くれるし、強そうでいいじゃない。
・福生のクラブシーンにスマブラ登場!?
−− 話をCDに戻しますか。CLUB REMIXがあるってことで、実際にクラブとかで流れたら面白いですよね。
大竹 オレは横田基地の近くに住んでるんで、土地柄、クラブがいっぱいあるんです。だから、マジに発売されたらクラブでかけたいって思ってますよ。レコード会社のディレクターも「シャレでかけてみな、面白いよ」って言ってくれるし。あとね、基地のなかのアフリカ系アメリカ人のブラザーにも、スマブラって人気あるんですよ。アンドリューってヤツなんですけどね、“Do you know smash brothers?”って聞いたら、“that's great!”なんて返事がかえってきて。
桜井 すごいところにまで浸透しているんですね!
大竹 やっぱりそれって人気度の高さというか……ユーザーの層の厚さを物語っていますよね。福生市役所の経済課の高橋さんがスマブラがうまかったり、そういう現象もあるワケですよ(笑)。
桜井 誰?(笑)
大竹 普通なら、子供の大会で高橋さんが列に並んでたりすると異様じゃないですか。
桜井 そう言えば、去年の夏に開催されたニンテンドウスペースワールドでのスマブラ大会のときも、参加者の身長差が目立ちました。
大竹 そう、このゲームって子供ばっかりじゃなくって、お父さんもはまってる。
桜井 親子でやってもらえることも多いゲームみたいですね。「子供に勝てないので、スマブラ拳を読んでいます」なんてメールもよせられました。
大竹 オレのバンドのベース弾きもそう。小学校1年生の息子を相手に遊んでいたんだけど、3カ月もすると、息子に2度と勝てなくなったとか。
桜井 そんなときにはオートハンディキャップ機能を使ってなかよくやってほしいなと思います。なんだかんだいっても、オトナだって負けるとくやしいですもんね。−− ところで、話をまたまたCDに戻しますが(笑)、HAL研究所のこの建物には、サウンドブースという部屋があるそうですね。CDのレコーディングは、ここで行なったんですか?
安藤 いえ、サウンドブースは、私がゲームの音楽を作る部屋です。ウチの会社にはスタジオはありません。
大竹 ええ、CDのレコーディングは別のスタジオで行ないました。−− CDの製作には、どんな機材を使ったんですか?
大竹 ハードディスクレコーダーです。作り込むっていう作業よりも、素材を取り込む作業ですからね。それが難しいんですよ。曲の構成のどこからファンファーレにつなげたらいいんだろうとか、悩んじゃう。規則性が出るとつまらないだろうから、たまには裏切ってみたり。そういうことを考える。パズルみたいですね。次の機会がもしあったら、生演奏も取り入れてみたいですね。
桜井 次の機会……あるといいですね。普通に考えるとないんですけど、スマブラの場合は分かりませんね(笑)。だって、ソフトが発売されてから1年後にオリジナルサントラCDが出るなんて、いままでになかったんじゃないでしょうか。−− 大竹さんは、スマブラ以前にも『マリオカート』などのゲームCDの製作にたずさわったってことですが、桜井さんや安藤さんはいかがですか?
桜井 安藤と私のコンビで最初にやったのは、『星のカービィ 夢の泉の物語』というゲームだったんですけど、コレのCDが出ましたね。アルバムだった。オリジナル曲をアレンジして、7曲ぐらいはボーカル付きだったんじゃないかなあ。あとは……すぎやまこういちさんのゲーム音楽コンサートで、『星のカービィ』のグルメレースの曲(注:スマブラのプププランドで流れている曲と同じ)が演奏されたことがあって、それがCDで出ているんですね。オーケストラバージョンですよ。−− そろそろまとめに入りましょうか? 今回のCDの聴きどころ、見どころなどを伺ってまいりましょう。
大竹 感動と興奮がよみがえる、ですよ! それキャッチですよね。
桜井 ジャケット代わりのメタルプレートにも注目してほしいですね。そもそも、スマブラのタイトルロゴってのは、シンプルにすることで、ありとあらゆる使い方でイケるように考えられているんです。タイトルバックを換えたりして、いろいろな使い方ができるように。縁取りしたり、その内側を炎で飾ったり……。今回はプレーンな使いかたで、自分としてはお気に入りです。
大竹 ブックレットにはどんなことが書いてあるんですか?
桜井 スタッフクレジットと曲順のほかに、スマブラ拳の写真のような、あまり見ることのできないアングルでキャラクターがアップになった写真なんかもひそかに載ってます。きっと、ファンは喜んでくれると思います。さっきも言いましたけど、普通に考えれば、おそらくスマブラのCDはコレが最初で最後。好きなひとは、ぜひお手にとってみてください。−− 次回にこのメンバーが一同に会するのは、スマブラ2周年記念のときですかね。スマブラ拳の更新もあったりして(笑)
桜井 「2才おめでとう」って、いったい何を載せればいいんですか!(笑)